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農薬検査部について

農薬の検査技術に関する調査研究報告

全体版のダウンロードはこちら(PDF:2,700KB)

1 OECD テストガイドラインの作成状況に関する調査

図1   農薬の登録申請の際に提出が求められる試験成績において、準拠することとされているOECDテストガイドライン(TG)及びガイダンス文書(GD)について、2023年の新規作成及び改訂状況について調査しました。
<得られた成果>
   新規作成されたTGについて、免疫毒性に関するTG(TG444A)の内容を精査しました。また、改訂されたTGについて、眼刺激性に関するTG(TG405、TG437、TG438、TG460、TG491、TG492、TG496)、皮膚感作性に関するTG(TG442C、TG442E、TG497)、遺伝毒性に関するTG(TG487)、内分泌かく乱に関するTG(TG456、TG458)及び光毒性に関するTG(TG498)の内容を前版と比較し、整理しました。また、発達神経毒性に関する新規のGD(GD377)について、内容を精査しました。

Keywords:発達神経毒性、DNT、IATA、AOP、in vitro、試験バッテリー

本文はこちら(PDF:1,079KB) (担当:農薬使用時安全審査課)

2 LC-MS/MSによるミツバチ中の残留農薬一斉分析法の妥当性確認

図2   当センターでは、農林水産省の通知に基づき、都道府県から送付されたミツバチ死虫中の農薬成分等の分析を行っており、過去に定量分析が可能であることを確認した成分を分析対象としています。しかし、農薬の登録状況に応じて、ミツバチへの暴露が想定される農薬成分を随時分析対象に追加する必要があります。
<得られた成果>
   近年登録された殺虫剤を中心に、新たに8成分について定量分析が可能であることを確認しました。本成果より、これらの成分を令和6年度から定量分析対象に追加することができました。

Keywords:ミツバチ、蜜蜂、ポリネーター、残留、QuEChERS法

本文はこちら(PDF:538KB) (担当:環境影響審査課)

3 JMPR における農薬の後作物残留に係る評価状況の調査

図3   農薬の後作物残留については、現在国内において新評価法の導入を検討しています。新評価法の参考となる米国及び欧州連合の評価法では、後作物代謝試験及び後作物残留試験はOECD TGに準拠したものが要求されますが、TGでは試験条件の細部まで規定されていません。そのため、JMPRの評価書にて試験の概要を調査しました。
<得られた成果>
   供試作物、農薬の処理から作付けまでの期間、前作物が供試されているかについて、主要な試験条件を確認しました。また、後作物代謝試験及び後作物残留試験がJMPRでの曝露評価対象の選定、基準値設定に利用されている事例、米国での基準値、作付け禁止期間の設定に利用されていると思われる事例を確認しました。

Keywords:後作物代謝、後作物残留、JMPR

本文はこちら(PDF:540KB) (担当:農薬使用基準審査課)

4 農薬製剤の品質の検査方法の改良

図4   FAMICは、品質の悪い農薬が市場に出回ることを防ぐため、定期的に農薬工場に立ち入り、集取した農薬の品質を検査しています。品質検査のための分析方法は農薬ごとに決められており、たくさんの農薬を効率よく検査するためには、複数の農薬を同じ条件で分析できる新たな方法が望まれていました。
<得られた成果>
   本研究では、国際農薬分析法協議会(CIPAC)で提案された一斉分析法を29種類の農薬で検証し、この分析方法で検査できる農薬を事前に推定するための判断基準を提案しました。得られた知見を活用することで、検査業務の大幅なコストダウンが期待されます。

Keywords:農薬、製剤分析、国際農薬分析法協議会、MAIMM

本文はこちら(PDF:663KB) (担当:農薬品質審査課)

            
【技術レポート】

5 残留農薬分析業務における分析法の検討
LC-MS/MSを用いたにんじん中の残留農薬一斉試験法の妥当性評価

図5   農林水産省の指示に基づき、国内産農産物に係る農薬の残留状況調査を実施しており、分析対象農薬の拡大及び試験法の効率化の検討を継続的に行っています。2024年度の調査品目である、にんじんの分析対象農薬の拡大を図るため、分析対象となっていない7農薬について、LC-MS/MS測定を用いた一斉試験法による分析が可能かどうかを検討しました。
<得られた成果>
   イプロジオン、シアントラニリプロール、ジノテフラン、ピコキシストロビン、ピリベンカルブ、フルオピラム及びメタフルミゾンについて厚生労働省の「食品中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性評価ガイドライン」に基づき妥当性を確認し、LC-MS/MS測定を用いた一斉試験法による分析が可能であることが確認されました。

Keywords:残留農薬、にんじん、妥当性評価、液体クロマトグラフタンデム型質量分析計

本文はこちら(PDF:520KB) (担当:農薬実態調査課)

6 残留農薬分析業務における分析法の検討
ヘリウムガス供給問題への対策としたLC-MS/MSによる農産物中の残留農薬一斉試験法への適用拡大

図6   残留農薬分析の中には、過去に供給が不安定となったヘリウムガスを用いる方法があります。ヘリウムガスの供給問題時においても残留農薬分析を継続的に実施できる体制を整備するために、これまでGC/MSによる一斉試験法で分析していた農薬等の中から51農薬を選定し、ヘリウムガスを使用しないLC-MS/MSを用いた農産物中の残留農薬一斉試験法への適用拡大を検討しました。検討には、こまつな、ミニトマト、にんじん及びみかんを用いました。
<得られた成果>
   厚生労働省通知の「食品中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性評価ガイドライン」に基づき、3試験室において妥当性評価を行いました。その結果、47農薬については、すべての試験室において、妥当性評価の性能パラメータがガイドラインに示された目標値に適合し、LC-MS/MS測定を用いた一斉試験法による分析が可能であることが確認されました。

Keywords:残留農薬、ヘリウムガス、妥当性評価、LC-MS/MS、一斉試験法

本文はこちら(PDF:1,040KB) (担当:農薬実態調査課)

【他誌掲載論文要旨】

1 A simulation model (PostPLANT-Soil) for predicting pesticide concentrations in succeeding leafy vegetables:
Ⅰ. Validation with experimental data in a Japanese Andosol field

2 A simulation model (PostPLANT-Soil) for predicting pesticide concentrations in succeeding leafy vegetables:
Ⅱ. Validation with experimental data on plant uptake in a growth chanber

上記要旨はこちら(PDF:520KB)                     

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